【愛がなんだ】映画と原作小説の違いは?キャラクター設定や演出を比較!

愛がなんだの表紙画像

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角田光代さんの2003年の作品「愛がなんだ」

 

2019年に岸井ゆきのさん主演で映画化されました。

10代後半から30代の女性が映画館に殺到し、リピーターも続出したと大変話題になりましたね。

 

実際に私も見て、映画もとっても良かったですが、原作と映画では一部変わっている部分があります。

 

この記事では、角田光代さんの「愛がなんだ」について

 

  • 原作と映画のキャラクター設定の違い
  • 原作と映画の演出の違い

 

を比較し、まとめてみました。

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愛がなんだの原作と映画の違い

原作小説と映画の違いについて、キャラクター設定と演出面から比較しました。

キャラクター設定の違い

私の個人的な主観ですが、映画のキャラクター設定は、ほぼ原作に忠実で、イメージとちがーーう!!なんてことはほとんどなかったです。

山田テルコ/岸井ゆきの

原作の山田テルコのイメージって、

  • 決して美人ではなく
  • 仕事ができるわけでもなく
  • 間違ってもモテるタイプではない

んですよね。

イメージぴったりと言うと岸井ゆきのさんに失礼かもですが、原作のテルコの冴えない雰囲気がよく現れていたなぁと思いました。

田中マモル/成田凌

これもまたイメージ通りだなと感じました!

  • ひょろっとしている
  • なんとなくダルそう

このあたりが特に。

ただ、成田凌さんだとちょっとイケメンすぎるかなぁとも思いました。

 

テルコはマモちゃんに陶酔しているけれど、マモちゃん自身が決してイケメンでモテ男という設定ではなく、あくまでもテルコにとっての王子様なだけなので。

すみれ/江口のりこ

すみれ役の江口のりこさん、この方はちょっと原作とイメージが違いますね。

原作のすみれの設定は29歳でしたが、映画では34歳になってました。

同じ「アラサー」のくくりに入るとはいえ、すみれのことをライバル視する立場のテルコからすれば、自分と1歳違いの29歳のすみれに嫉妬する気持ちと、34歳のすみれに嫉妬する気持ちは絶対違うと思いますね。

 

その他すみれといえば

  • ファッションがヤバイ
  • 煙草をぷかぷか吸いガハハと大口を開けて笑う
  • 化粧がおかしい
  • マニキュアが剥げている
  • 長い髪は枝毛だらけ

等々、テルコがすみれのことをライバル視していたせいで、小説ではすみれの外見に関する描写が細かく書かれていました。

そのせいですみれのことは、より具体的にイメージしていた読者の方も多かったのではないでしょうか。

それで余計に「イメージと違う」と思ってしまうのかなと思います。

でもそこは江口さんの演技力で、違和感を感じたのは最初だけで、どことなく「いい人感」が出ているのもいいなぁと個人的には思いました。

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演出の違い

演出についてはいくつか違いがあったので順番に見ていきましょう。

テルコと同僚の会話

原作小説では、テルコは会社で完全に浮いており話しかけてくる人間は誰一人いない「相当ヤバイ奴」なのですが

 

映画では、仕事をクビになりデスクまわりを片付けて会社を去った後に、テルコを追いかけてきて「結婚」や「愛」について後輩女性と公園で語り合うシーンがあります。

 

映画のテルコの方が、社会性が高いと感じられるシーンですね。

友人・山中吉乃との居酒屋シーン

原作では、マモルから突然追い出され音信不通になってしまった後に、学生時代の友人と会う場面があります。

友人の山中吉乃とは、決して大親友というわけでもなく、気まぐれに呼びだれては自慢話を聞かされるような関係なのですが、この時のテルコはマモルのことで頭がいっぱいだったので、吉乃に自分の境遇を話して意見を求めるんですね。

 

映画では、この場面は全く出て来ません。

海への旅行

原作と映画の一番の違いはここかなと思いますが、物語中盤で、すみれが海に行きたがり、一緒に行きたいマモルは必死でテルコを誘うというシーンがあります。

 

  • 原作では→海に行くのはテルコ、マモル、すみれの3人
  • 映画では→海に行くのはテルコ、マモル、すみれ、ナカハラくんの4人

 

当初の予定では、大勢誘ってわいわい行くという話だったのでテルコは友人の葉子を誘うのですが、葉子はバッサリ断ります。

原作では、その結果3人で行くわけですが、映画では葉子はその場にいたナカハラくんに「行ってこい」と言い、結果4人になったんですね。

 

そして別荘での夜、映画では4人で飲んでいる時に、ナカハラが葉子の話をすると、すみれが葉子のことをボロクソに言います。

そんな女最低だ!と。その時の微妙な空気ったらありません。

 

映画の中で唯一正論を言い、めちゃくちゃまともなすみれさんですが、原作ではナカハラくんはそもそもすみれと会う機会もないので、こういうシーンはありません。

原作を読んでると、マモルが「クズ男」なのはよくわかるのですが、それと同じことを葉子もやっていて、でもそれを指摘する人は誰もいないんです。

 

映画では、すみれがその役をやってくれていて、見ている側としては「すみれさん!よくぞ言ってくれました!」という感じでした。

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マモルから別れを告げられるシーン

マモルから突然「俺たちもう会わないでおこう」と言われるシーン、これは原作でも映画でもあるのですが、ここは演出がかなり変わっています。

 

原作では、体調が悪いからまた今後にしてと言うテルコを無理やり説得し、居酒屋に連れ出して散々酒を飲んだあとで「会わない宣言」をされます。

マモルの自己中な行動が如実に表れているシーンです。

 

一方、映画では、家の前まで来てから電話をかけ、体調が悪いテルコの部屋に上がり込み、煮込みうどんを作ってあげるマモル。

そして散々優しくした後で、「会わない宣言」をされます。

 

そちらもテルコからすれば寝耳に水な状況での宣言なのですが、映画の方が残酷な感じがしました。

煮込みうどんを作ってあげたりして、優しくした後でその宣言はないだろマモル!

 

そしてこの会わない宣言をすることにしたきっかけは、原作と同様に葉子から電話がかかってきて「アンタの行動はおかしい。テルコを傷つけている」と指摘されたからだと説明しました。

 

どちらも葉子からの電話がきっかけでマモルは行動を起こしたわけですが、実はこの前後の出来事が映画と原作では全然違っているんです。

 

葉子へ思いをぶつける

映画でとても印象的なシーンの一つに、テルコが葉子の家に行って葉子の行動を批判する場面があります。

 

葉子は自分の都合でナカハラくんを呼び出し、パシリに使い、ナカハラくんの気持ちをいいように利用している。そのことをテルコは猛烈に批判します。

 

実はこのシーンは原作にはありません。

先にも書きましたが、原作では葉子の行動を面と向かって批判する人は誰もいないんですよね。

 

映画オリジナルのこのシーンはとっても良かったと思います。

葉子の行動もだいぶ問題アリなので、それを指摘してこそ友人だと思いますけど、女同士であれだけ言っちゃったらもう修復不可能かも(汗)なんて思っちゃいましたけど。

 

そして映画では、テルコが葉子を猛批判したこの後に、葉子はマモルに電話をかけて「アンタの行動はおかしい。テルコを傷つけている」と忠告するわけです。

葉子はいったいどういう気持ちでこの電話をかけたのでしょうね。

テルコに言われて反省したのかな?

そのあたりは描かれていないのでわかりませんが。

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ラストシーン

マモルから「もう会わない宣言」をされた時、テルコは強がって、アンタなんて好きじゃない、何を勘違いしているのかとマモルに言い放ちます。

 

マモルはその言葉をすっかり信じて、後日、テルコにイケメンの友人を紹介する場を設けます。当然すみれも同席。

 

すみれはそのイケメンを自分から誘います。

この後は小説でも映画でも二人がどうなったのかは描かれていません。

映画だけにあるラストシーン。

 

テルコがゾウの飼育員になってゾウに餌をやっているシーン。

 

セリフも何もない短いシーンなのですが、「33になったらゾウの飼育員になりたい」ときっと深い意味もなく言ったマモルのセリフをテルコが実現しているというこのシーンに、マモルへの執着が現れていてちょっとゾッとしました。

でもそれをセリフなしのシーンで表現しているのは映像ならではで、これもまたとても良かったと思います。

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この愛がなんだは、原作と違っているところもありますが、原作の読者の一人として「イメージと違う」なんてことは全く思いませんでした。

小説と映画、それぞれに良さがあるのですが、映像の方がよりリアルに想像しやすいという人も多いと思います。

 

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まとめ

映画よりも小説を読むことが多い私にとって、映画が原作のイメージと違うとガーン(ノД`)・゜・。となることも多いんですが、この「愛がなんだ」に関しては、映画は原作の世界観を忠実に表現していてとても良かったです。

 

原作にないシーンがいくつか増えたり、演出面でも違いはありましたが、それはむしろ映画の方が良かったかも(^^♪

 

キャストのみなさんもイメージ通りで、演技も上手くて、マモルには原作同様イラッときましたし、すみれさんはむしろ素敵でお友達になりたいと思いました(笑)

 

他人事とは思えない、昔の自分を見てるようだ、傷をえぐられた、誰しもそんな感想を持ってしまう「愛がなんだ」の映画も原作も、どちらもそれぞれオススメです。

 

では、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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