【愛がなんだ】原作小説のあらすじやネタバレ感想!登場人物の感情についての考察も紹介!

愛がなんだの表紙画像

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直木賞作家である角田光代さんの2003年の作品『愛がなんだ』

 

角田光代さんの作品の私個人のイメージは、女性の複雑な気持ちの表現がとても豊かで、最初はとうてい共感できなかった主人公の女性にいつの間にか共感しているという不思議な気持ちになる作品、という印象です。

 

この「愛がなんだ」も正にそうで、はっきり言って私は主人公の女性にまったく共感できません(>_<)

あまりにももったいない恋愛をしすぎ。

 

でも、「そういうこともあるよねぇ」といつの間にか共感しているところもあったり。

 

今回は そんな角田光代さんの『愛がなんだ』について

 

  • あらすじやネタバレと感想
  • 登場人物の感情や行動の考察

 

を紹介していきます。

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愛がなんだの簡単なあらすじ

山田テルコ(28)はベタぼれのマモちゃんから連絡があると、何もかもを放り出しマモちゃんのところへ向かってしまう。

仕事も人間関係もどうでもいい。

 

とにかくマモちゃんが何よりも最優先。

完全に都合のいい女として扱われていることに気づかないふりをしながら、いつかマモちゃんが自分を選んでくれるとひたすら尽くし続ける。

 

そしてそんなマモちゃんはどんなにイイ男かというと、それが決してそうでもない。

 

「恋は盲目」のお手本のようなテルコの恋愛はどうなるのか?

恋愛に正解はない。リアルなアラサー女子の恋愛事情を描いたラブストーリー。

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愛がなんだの詳しいあらすじとネタバレ

ここからはネタバレを含む詳しいあらすじを紹介していきますので、未読の方は注意してくださいね。

 

呼び出され、放り出され

テルコは、風邪で寝込んでいるから何か買ってきて欲しいというマモちゃんの突然の呼び出しに即座に対応し、食べるものをあれこれ買い、マモちゃんの家に向かった。

マモちゃんの家では、食事を作り、頼まれもしないのに風呂掃除をし、ごみの分別をした。

 

泊まるつもり満々だったテルコにマモちゃんが言った言葉は、「帰ってほしい」だった。

終電ももうない、深夜1時にテルコは一人で放り出された。

 

 

電車賃もなく、自宅まで途方もない距離を歩いて帰ろうとしていたテルコは友人の葉子に電話をかけヘルプを出す。

 

葉子から、すぐにタクシーに乗るように言われテルコは葉子の家に向かった。

 

一連の話を聞いた葉子はテルコに、「もっと自分が優位に立てる恋愛をすべき」と説教した。

もうね、出だしから典型的なダメ恋愛。呼ばれて喜んで家行って、追い出されて、それでもマモちゃんは悪くないと思っているテルコ。あちゃ~。

仕事よりもマモちゃん

テルコは契約社員として勤めていたが、会社では完全に浮いた存在だった。

  • マモちゃんから連絡が来ると、どんな約束もすっぽかす。
  • マモちゃんから連絡が来ると、就業時間内でもデスクで長電話する。
  • マモちゃんから連絡が来ると、定時前からトイレにこもって念入りに化粧する
  • マモちゃんから連絡が来ると、デートまでの時間をつぶすため意味もなく残業をする

 

こんなことを繰り返すうち、誰もテルコに話しかけなくなった。

しかし、テルコにとっては誰にどう思われようともどうでも良いことであり何の問題もなかった。

 

深夜に追い出されて4日目、そろそろマモちゃんから連絡があるはずとマモちゃんの会社近くのカフェで何時間も時間をつぶす。

呼び出されたら即座に会いに行けるように。

 

呼び出しがないまま時間が過ぎ、諦めて帰宅した深夜0時、シャワーを浴びているとマモちゃんから着信があり、泡まみれのまま応答すると、食事の誘いだった。

仕事が忙しくてまだ晩ご飯食べてないよ、と当たり前のように嘘をつき、マモちゃんの元にウキウキしながら向かうテルコだった。

私、テルコ無理かも…(苦笑)

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どこまでも自己中なマモちゃんとダメダメなテルコ

居酒屋の画像

こないだ食事買ってきてくれたお礼だから何でも注文していいよというマモちゃん。

そのくせ、焼酎頼みたいというテルコに「酒飲むとぐずって帰らなくなるから嫌」と言い放つ。

テルコはマモちゃんを困らせないように、なるべく酒を飲まないように過ごした。

 

明け方まで居酒屋で過ごし、タクシーを待っていると、マモちゃんはテルコにうちに来るか?と誘った。

二つ返事のテルコはマモちゃんの家についていった。

 

そしてこの日から、マモちゃんは毎日テルコに電話をかけてくるようになり、テルコは2日に1回は泊まりに行った。

 

泊まった日の翌日はほぼ毎回無断遅刻をし、定時より早くから化粧のためにトイレにこもり、終業時刻より前に会社を抜け出した。

そしてマモちゃんの気まぐれな「今から動物園行こう」などという誘いに迷わず乗り、無断欠勤している後ろめたさを感じるどころか、マモちゃんと一緒にいられることの幸せをかみしめていた。

 

当然ながら、テルコはまもなく会社をクビになった。

えーっと。もうどうしたらいいの。テルコもテルコだし、マモちゃんもマモちゃんで、本当どっちもどっち!

完全なパシリ化

失業したテルコだったが、再就職先は探さないことにしていた。

マモちゃんから結婚を申し込まれた時に、仕事がない方が動きやすいと思ったからだ。

 

そして暇になったテルコは、マモちゃんの完全なパシリと化していた。

振り込み、クリーニング、洗濯などなんでも請け負い、またそれに幸せを感じていた。

 

ある日の夜、ビールが足りないとつぶやいたマモちゃんの言葉を受けて、テルコはいそいそとコンビニまで買い出しに行った。

 

マモちゃんは行かなくて良いと言ったのに…

マモちゃんのその時の複雑な表情にも気づかず…

 

翌日の早朝、テルコは再びマモちゃんに部屋を追い出された。

そしてそのまま連絡が取れなくなってしまった。

 

マモちゃんが明らかに怒っていることはわかったが、自分の何がいけなかったのか、テルコにはさっぱり思い当たる節がなかった。

結婚を想像して(申し込まれてもいないのに)再就職をしない、一瞬えぇ~!?と思ってしまうけど、アラサー女子なら多少なりとも考えちゃうことだよね。

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大晦日は葉子の家で

マモちゃんと連絡がつかないまま1ヶ月以上が過ぎた。

この1ヶ月、テルコは自宅や携帯電話、職場にまで電話をかけたがマモちゃんには居留守を使われていた。

 

大晦日、葉子の家にはナカハラくんもいた。

ナカハラくんは、葉子に猛烈に恋心を抱いており、葉子に頼まれれば買い物に行き、呼び出されれば飛んで来る、女版テルコのような男で、その時も大晦日に葉子に呼ばれたことが嬉しくてニヤニヤしていた。

 

そんな時、葉子に一本の電話が入り「今からパーティーに行く」という。

自分とナカハラくんはどうするのかと問うテルコに、テルコも一緒に行く?と聞く葉子。

ナカハラは置いておけばいい、留守番慣れてるから、と言い放つ葉子にテルコは「ナカハラくんに失礼すぎる!」と抗議したが、葉子は意にも介していない様子。

 

テルコはパーティーには行かず、ナカハラくんと二人で葉子宅に残り、葉子母とワインを飲みかわすという不思議な構図で年明けを迎えた。

テルコとナカハラくんは究極の似た者同士。二人で残され微妙な空気が流れ、このまま勢いで…?なんてちょっと思ってしまったのだけど、それはなかった。二人とも本当に片想いの相手に一途なんだ。

意味がわからない呼び出し

三か月ぶりに電話をかけてきたマモちゃんは、何事もなかったかのようにテルコを食事に誘った。

めいっぱいオシャレして待ち合わせの店に向かうと、マモちゃんは女を連れてきていた。

 

すみれというその女は、決して美人ではなく、煙草をぷかぷかと吸い、大口をあけてがははと笑う、お世辞にも上品とは言えない雰囲気を持った女だった。

 

二人がどういう関係なのか、なぜ自分が今日ここに呼ばれたのかがわからないテルコ。

 

よくわからない食事会が終わると、すみれはあっさりと一人タクシーに乗って帰って行った。

マモちゃんと二人になったテルコは、すみれは恋人なのか、それを自分にわからせて連絡をしてくるなということを言いたいのか?と聞く。

 

するとマモちゃんは、そんなことは言ってない。山田さんのそういうところ苦手、すみれのがさつさを少しは見習えと言い放った。

マモちゃん、あまりにも身勝手すぎる。なぜこんな男がいいんだ!

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本格的パシリ女

面と向かって「苦手」と言われたことはテルコに大きなダメージを与えた。

すみれと会った翌日、失業給付金を受け取るための面接日だったことをすっかり忘れ、ついに無収入となってしまったテルコは、完全に家に引きこもり、あっという間に家はゴミ屋敷と化した。

 

ようやく就職活動を始めたテルコが面接に向かっている途中、マモちゃんから電話がかかってきた。

チョコレートを買ってきて欲しいという雑用を仰せつかったテルコは、面接を放り出して伊勢丹に向かう。

そして考える。就職活動はやめよう。就職してしまったらマモちゃんからのこういう電話を受けられなくなる。

 

時間に融通が利いて、マモちゃんの電話を最優先できるということを最重要条件にしてテルコはアルバイトを探し、健康ランドの風呂場の仕事を見つけてきた。

 

専用の甚平にポケットを縫い付け、携帯を入れていつでも応答できるようにした。

あかん。あかーん( ゚Д゚) 苦手って言われておいて、チョコを買いに行くんじゃない!面接をすっぽかすんじゃない!

すみれからの呼び出し

バイト終わり、すみれから電話がかかってきた。

すみれ宅での飲み会に誘われたのだ。

マモちゃんに会えるし思ったテルコは買い出しをしながら教えられた住所に向かったが、そこにマモちゃんはいなかった。

 

すみれは料理上手で、そこにいた仲間はみな親しげだったが、なぜ自分がここにいるのかテルコにはわからず、トイレに行くふりをしてマモちゃんに電話をかけた。

すみれ宅にいることを伝え、マモちゃんも来たらどうかと誘う。

多少話を盛って、すみれが会いたがっているかのように言った。

 

現れたマモちゃんは、その場に必死に溶け込もうと気を遣い、必死に愛想を振りまき、すみれのパシリのようなこともせっせとやっていた。

しばらくしてすみれが寝てしまうと、マモちゃんは「帰る」と言い、テルコも一緒に部屋を出た。

 

マモちゃんは、テルコの部屋に行きたがった。

部屋に着くと二人は裸になり抱き合ったが、その日は結局できずに終わった。

すみれが自分に気持ちが向いていないことで傷つき、テルコの家に行きテルコを抱こうとする。でもできない。誰が一番つらいってテルコだよ!

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3人で行く別荘

海の画像

すみれが海に行きたがり、マモちゃんの友達が別荘を持っているという話から、それぞれ大勢誘って別荘に遊びに行く計画が持ち上がった。

すみれはなぜかテルコのことを気に入っており、「テルコが行くなら自分も行く」と言ったもんだから、マモちゃんは必死でテルコを誘った。

 

しかし当日になって、いざふたを開けてみればテルコ、マモちゃん、すみれの3人しか別荘には行かなかった。

 

白けムードで始まった旅行は、時間とともに話題はなくなり、気まずい空気が流れ、結局は酒を飲んでごまかす。

3人は2泊3日の予定を繰り上げ、1泊で帰路についた。

完全な三角関係で、それぞれの気持ちが交差するこの旅行は読んでてとても切なかったです。

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勝手すぎる呼び出し

旅行から帰るとテルコは39℃の熱を出した。

寝込んでいるところにマモちゃんからの電話。

いつもなら二つ返事のテルコは、旅行から帰ってきて少し気持ちが変わっており、珍しく「体調を崩している」と答えた。

 

しかしマモちゃんはどうしても会いたい、会って話したいことがあるとかなり強引にしつこく誘って来た。

もうどうでもいいと思う気持ちと、やはり諦めきれない気持ちの狭間で、テルコは結局マモちゃんに会うことを選ぶ。

 

そして居酒屋に着き、やっぱりマモちゃんと一緒にいられればなんでもいいやと思い直していたテルコ。

ずいぶん酒が進んだ頃、ようやく始まった本題。

 

マモちゃんから、もう会うのやめよう、と告げられる。

そんなことを言い出したきっかけは、葉子からの助言だったという。

葉子から、マモちゃんの行動がいかにテルコを傷つけているかということを強くたしなめられたらしい。

 

それを指摘されるまで、自分の行動がおかしいということに全く気付かなかったとマモちゃんは言った。

39度の熱出てる人を呼び出して今言うべきことなの?(ノД`)・゜・。

ナカハラくんの決断

ナカハラくんと二人でラーメン屋に行った。

葉子に彼氏ができたらしい。

ナカハラくんは、葉子から身を引く、葉子にはもう会わないと言ったが、そう気持ちが行きつくまでの過程を聞いても、テルコにはよくわからなかった。

でも、よくわかるところもあった。

テルコとナカハラくんは似た者同士だった。

ナカハラくんが葉子にもう会わないということは、テルコとももう会うことはないだろう。

ナカハラくんは葉子からようやく卒業できたんだね。不毛な恋は辛いよ。

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愛がなんだの感想や登場人物の感情についての考察

冒頭から、「なんで行くかな」「行くなぁ~テルコぉぉ~!!」と何度声に出して叫びそうになったか。

テルコもテルコ、マモちゃんもマモちゃん。

 

そして、テルコに偉そうに講釈をたれる葉子、アンタもだいぶ罪深いよ!

テルコとマモちゃんの男女逆転バージョンで、葉子とナカハラくんがすぐ近くにいるのに、その二人の関係を見ながら、テルコは何を思うのだろう。

 

テルコは自分とナカハラくんが似た者同士であることも自覚しているし、「ストーカー同盟」と自ら言っている。

にも関わらず、惨めなナカハラくんを目の当たりにしても、「こんな恋愛はダメだ」とか「私もやめよう」とかそういう風には一切思っていないし、葉子からの卒業を決めたナカハラくんをどちらかというと非難している。

 

自分がマモちゃんを好きなことに何の疑いも迷いも持っていない。

ある意味で、ここまで一途になれる恋愛ができるのは幸せなことなのかもしれないと思う。

 

一人暮らしで、ある程度自由になるお金があって、結婚が現実的になってくるアラサーならではの恋愛な気がする。

 

一生のうち、まわりが見えなくなるような恋愛も一度くらいはあってもいいと思う。

どこかのタイミングではっと気づいて前に向ける時が来ると思うから。

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まとめ

今回は 角田光代さんの「愛がなんだ」のあらすじネタバレと考察についてまとめました。

 

全編を通してすごく印象的だったのが

  • やたら酒を飲むw
  • (いい意味で)無駄なセリフが多い

 

ということ。

39度の熱出ててもビール5杯飲んでるし、とにかくやたら飲んでいる。飲みすぎw

 

そして、重要な話をしている途中で「あ、これおいしいよ」などという、現実世界ではものすごく自然な会話なんだけど、小説だと省略されがちな「無駄なセリフ」がとても多い。

 

これがすごく情景が目に浮かんでとても読みやすかったし、面白かったです。

 

恋愛ってなんだ。まさに「愛がなんだ」と思わされる作品です。

 

 

まだ未読の方はぜひ読んでみてくださいね!

 

 

では、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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