【十三番目の人格ISOLA】ネタバレを結末まで紹介!イソラの意味や由来も解説

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貴志祐介さんの作品にはホラーが多くありますが、ホラーの種類が様々で、いつも貴志さんの引き出しの多さに驚かされます。

 

十三番目の人格-ISOLA-は貴志さんの初期の作品ですが、ホラーだけではなくミステリー要素も兼ね備えていて、ドキドキしながら読み進めていくような「やめられない止まらない」感があります。

 

2000年に発売された作品ですので、現在と違う言い回し(多重人格、精神分裂病など)も登場しますが、そういった部分を除けば、今読んでも全く古臭くなく楽しめる作品です。

 

今回は、この十三番目の人格ISOLAのあらすじを紹介します!

ネタバレも含みますので、未読の方はご注意くださいね~。

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【十三番目の人格ISOLA】ネタバレを結末まで!

十三番目の人格ISOLAのあらすじやストーリーを紹介していきますが、ネタバレを含みますので、未読の方はご注意くださいね。

 

エンパスの由香里

光が差し込むイメージ画像

阪神大震災で壊滅的な被害を受けた神戸地区で、二十歳の賀茂由香里(かもゆかり)は被災者たちの心のケアを目的にボランティア活動をしていました。

 

由香里は「エンパシー」という力を持っており、強い感情の波動を読むことでその人の心の中を読み取ることができる女性でした。

 

この力のせいで辛い幼少期を過ごしたこともありましたが、今こそ自分の力を使えば被災者の心のケアができるのではないかと考え、東京から仕事を休んでまでボランティア活動に参加していました。

 

ある日、ボランティア仲間に紹介され、由香里は被災者の一人である千尋という入院中の女子高生に会うことになります。

由香里は初対面の瞬間から、千尋が多重人格者であることに気づき、その中にイソラという危険な人物がいることを突き止めます。

 

専門家ではない自分には荷が重すぎるため、千尋の高校のスクールカウンセラー野村に面会し、イソラの存在と危険性について伝えることにした由香里でしたが、好奇心が押さえられず、野村からの依頼もあって二人共同で千尋のカウンセリングを行っていくことになります。

らんらん
好奇心はわかるけど、この時点でもう嫌な予感しかしない…

 

多重人格者の千尋

仮面のイメージ画像

野村がこれまでの調査データと由香里の能力から、千尋が多重人格になったきっかけは5歳の時の事故であることがわかります。

 

この時の事故で両親と死別し、叔母夫婦によって育てられましたが、その生い立ちにより人格は次々作られ現在は13の人格が存在することがわかりました。

一人一人と粘り強くコミュニケーションを取り、13人の力関係などを徐々に把握していく中で、由香里が危険と判断しているイソラという人格は阪神大震災の後に誕生したことまではわかったものの、それ以上の情報が得られない状況が続きました。

 

カウンセリングを開始してから2週間が過ぎた時、由香里がいつものように千尋の病室に向かうと、千尋の叔父が「退院させる!」と騒いでいるところでした。

叔父こと森谷竜郎と対面したことで、由香里はこの男が千尋に対し性的虐待を行っていることに気づいてしまいます。

しかし、竜郎を止めることはできず、千尋は強引に退院させられ連れ帰られてしまいました。

 

それから1週間後、竜郎が心臓麻痺で急死したという知らせが届きます。

それをきっかけにようやく登校できるようになった千尋に対し、由香里と野村はいよいよ人格統合に向けたカウンセリングを開始していきますが、由香里も仕事をこれ以上休むことが難しくなり、いったん東京に戻って数カ月後に再び戻ってくることを野村と約束したのでした。

 

その後も野村と手紙のやり取りは続いていましたが、千尋のまわりの環境は激変してしまっていました。

千尋の高校内で、二人の生徒と一人の教師が次々と心臓麻痺で死亡してしまったのです。

あくまでも自然死、病死ということでしたが、亡くなった生徒や教師が千尋のことをいじめていた経緯があったことから「呪い」と言われるようになり、千尋は完全に孤立してしまっているようでした。

らんらん
自然死…そんなバカな。何かある…

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イソラの能力

夜空のイメージ画像

数か月ぶりに神戸に戻ってきた由香里は、ホテルに向かう途中で強いイソラの邪悪な気配を感じ現場まで向かいます。

そこで見たものは、イソラが一人の女子高生に憑依し、彼女を操っている姿でした。

しかし由香里にはそれがどういう状況か全く理解できずにいます。

 

また、野村からも「千尋本人の希望でカウンセリングを中止した」と聞かされ由香里は驚愕します。

学校では、千尋に関わった人間が次々と不審死を遂げていることから、完全に呪いのうわさが蔓延している状態でした。

何人かの生徒から話を聞き、由香里は「自然死に見せかけてイソラが殺人を犯している」と確信します。

 

ただ、いったいどうやってそれをやったのか?

まさか幽体離脱?

野村は度重なる校内の異常事態の対応に追われていたため、由香里は単独で調査に乗り出します。

らんらん
これ以上首を突っ込むと本当に恐ろしいことになりそう

 

高野弥生とその同僚の関係性

研究のイメージ画像

由香里は高野弥生という一人の女性の名前を思い出します。

高野弥生は震災前、千尋や野村に何度か会いに来ては「臨死体験」について聞きたがっていた人物でした。

千尋は5歳で事故にあった時に臨死体験を経験しており、そのことを知った高野が自分の研究のために詳しく話を聞こうとしていたのですが、態度が非常にぶしつけだったりしたため、野村や千尋の周囲からも煙たがられていた存在でした。

 

しかしイソラが対外離脱して人を呪い殺しているかもしれないという状況になった今、高野に合うべきだと由香里は考えました。

ところが、まさかの高野弥生は震災で死亡したというのです。

とにかく高野の研究室へ向かってみることにした由香里は、そこで同僚の真部という男に出会います。

 

この瞬間、二人は一瞬で恋に落ちてしまっていました。

らんらん
ここで恋愛エピソード始まると思わなかった~( ゚Д゚)

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真部の隠し事

震災当日の高野が死亡した状況などを調査した結果、由香里にはいくつか気になる点がありました。

しかし大震災の最中、詳しく検査もされずに事故死ということで処理された経緯もあり調査は困難となっていました。

 

由香里が高野が単なる事故死ではないのではないかと疑った一番の理由は、真部が何かを隠していることをエンパシーの能力から気づいていたせいでした。

一方で、真部と由香里の距離は急速に近づいていきます。

 

イソラの正体

由香里は、野村との会話の中から、イソラの正体に気づいてしまいました。

 

高野弥生の研究テーマは「臨死体験」であり、研究への情熱からついに自ら臨死体験するという危険な実験にも手を伸ばしていたのです。

大震災当日、真部が見守る中で高野は薬物を服用し臨死実験を行います。

そして、見事対外離脱に成功したその瞬間、大震災が起きてしまいます。

高野の体は崩れた壁の下敷きになり「生物的な死」を迎え、浮遊した高野の魂は戻るところを失ってさまようことになります。

 

それから数日、高野は誰かの体に憑依しようと何度も試みますが、健康な普通の人間は高野ような存在を受け入れることはなく、途方に暮れていた時に思い出したのが、多重人格者である千尋の存在でした。

千尋の体にはすでに12もの人格が存在しており、外からやってきたイソラのこともさほど抵抗なく受け入れることができました。

こうして十三番目の人格としてのイソラが誕生したのです。

らんらん
ありえないようでありそうなところが怖い

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イソラの目的

心の闇のイメージ画像

イソラには目的がありました。

それは、真部への復讐

 

大震災のその瞬間、対外離脱中の高野の体を放置して、一目散に逃げたのです。

これまで対外離脱を繰り返していた高野弥生は、精神に異常をきたすようになっており、自分のことを見捨てた真野に対し強い憎しみを持つようになってしまいました。

そして千尋の体に居場所を見つけたイソラは、千尋ら12の人格が成しえなかった「嫌いな人を殺す」ということを率先してやるようになってしまったのです。

 

そこまですべてわかってしまった由香里は、このままでは近いうちにイソラによって真部が殺されると確信します。

由香里は、イソラと直接話をすることにしました。

しかし話が通じる状態ではなく、イソラは真部を狙って夜な夜な探し回るようになります。

 

すべての状況を理解した真部と、どうしても真部を守りたい由香里。

二人とイソラの最終対決は、予想もしない結末を迎えてしまうのです。

らんらん
高野弥生がとても可哀想に思えてしまいます。真部の愛がほしくて自ら危険な実験に手を染め、こんな結末になってしまうなんて。

 

とても悲しくて切ないラスト、ぜひ本を手に取って読んでみてくださいね!

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【十三番目の人格ISOLA】イソラの意味や由来をネタバレ

こちらもネタバレになりますので、未読の方はご注意くださいね~!

13番目の人格として千尋の中に登場したイソラ。

本作中では「磯良」と漢字で書かれています。

 

千尋が大切にしている本に『雨月物語』がありますが、この中に磯良という人物が登場します。

磯良は、外に女を作った夫やその愛人たちを呪い殺していくという恐ろしい女性なのですが、由香里は、13番目の人格がイソラという名前だと聞いた瞬間に、この雨月物語の磯良が由来だと思ってしまったんですね。

  • 大切にしている本に雨月物語があった
  • イソラの危険性が、物語の中の磯良と重なった

 

こういったところから、磯良と漢字で表現されるようになるわけなんですが、これが実は間違っている、というのが後半にわかってきます。

 

イソラの正体は高野弥生です。

高野弥生は体外離脱中に肉体を失ってしまい、宿主を探して何日もさまよい、ようやくたどり着いたのが千尋の体です。

 

その時点でもう高野の限界は近かったんです。

どうにか千尋の体に入ったものの、意識は朦朧、自分の名前も忘れてしまっていました。

そこで他の12の人格から名前を聞かれてかろうじて記憶にあったのが「ISOLA」という単語。

これは、体外離脱のための実験装置「ISOLATION TANK(アイソレーションタンク)」の頭5文字です。

 

言うなればこれはイソラと読むのではなく、アイソレなんです、本当は。

 

いや~。

よくできてるなぁと思います。

貴志祐介さんの2重3重にも張り巡らされた罠というか、ミステリー要素部分ですよね。

まさかそう来るか!?って感じで。

ただのホラーで終わらないところがさすがです。

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まとめ

貴志祐介さんの十三番目の人格 ISOLAのネタバレとイソラの由来について紹介しました。

あくまでもフィクションなんですが、それぞれがなさそうでありそう、というところが怖いなと思いました。

  • 体外離脱を人工的にやっちゃう
  • 離脱中に肉体が死んでしまう
  • 多重人格の人には憑依しやすい

 

これらって全部単独で見れば十分ありえると思うんですよね。

とても面白い作品でしたが、ラストがちょっと私的には悲しすぎました。

そして予想外でした。

 

これが初期の作品というのも驚きです。

未読の方はぜひ読んでみてくださいね!

 

では、最後まで読んでいたがきありがとうございました!

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