【グラスホッパー】小説と映画の違いは?キャラクター設定や演出などを比較!

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伊坂幸太郎さんの『グラスホッパー』は言わずと知れた大ヒット作で、2015年には映画化もされました。

 

小説を先に読んで映画が気になった方、またはその逆の場合もあると思いますが、両方を読んだ(見た)私の感想。

  • 小説を先に読んで映画を見た人⇒「なんじゃこりゃ。なんか違う~!」
  • 映画だけを見た人⇒「どういうこと?よくわからない」

 

と思うんじゃないかなぁと感じました。

それくらい、原作と映画でかなり違う部分があります。

 

この記事では、「グラスホッパー」について

  • 原作と映画のキャラクター設定の違い
  • 原作と映画の演出の違い

を比較し、まとめてみました。

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【グラスホッパー】原作小説と映画のキャラクター設定の違い

原作小説と映画の違いについて、キャラクター設定の点から比較しました。

 

これはあくまでも個人的な意見ですが、かなり色々とイメージと違うなぁと思う部分が多かったです。

グラスホッパーの世界観を映像化するのはやはり難しかったような印象です。

鈴木(すずき)/生田斗真

妻(映画では恋人)を殺されて復讐のためにヤバイ組織にもぐりこんだ元教師という設定。

本来は復讐などができるキャラではない優しい性格の青年ですが、それにしても!

映画の鈴木はちょっとあまりにも頼りないというか、冴えない度合いが強いというか、本来は優しい性格だけど妻の復讐のためなら多少の犠牲はいとわない!みたいな雰囲気が原作にはあったので、その部分が映画からは感じられないような気がしました。

鯨(くじら)/浅野忠信

すみません!これはもう、個人的にはぜんっぜんイメージと違いました(/ω\)

鯨という名前がそもそも190センチ90キロの大男というところから来ているので、浅野忠信さんが決して小柄というわけではないですが、でもちょっと大男って感じではなかったなぁと。

あと、「俺の目を見ろ」の部分、もうちょっとわざとらしくてもいいので(色が変わるとか光るとか)印象的な目にして欲しかったですね。

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蝉 (せみ)/山田涼介

全くキャスト名など知らずに見始めて、しばらく蝉が山田涼介さんだと気づきませんでした。

それほど、めちゃくちゃハマっていてびっくりしました。

狂気じみた言動がすごく上手で、目の表現がとても印象的。

「山田涼介さんってこんなにいい役者さんだったんだなぁ」と素直に感心。

個人的には全キャストさんの中でずば抜けて原作のイメージに近く、イチオシです!

槿(あさがお)/ 吉岡秀隆

これもまた…私的にはイメージと違いました。

あまりにも殺し屋感がない。いや、そういう役なんですが、なんか違うなぁという感じです。

原作ではもっと鈴木との絡みがあり、最後の最後で鈴木を助けてくれたり、もしかして槿がやった…?と思わせるシーンがあったりと、無表情で無口でありながらもっと存在感があるのに対し、映画では登場シーンが少ないこともあって本当に何を考えているかわからず、「結局何?」というもやもやした印象のまま終わった感じがします。

どうせならもっと登場させて欲しかったですね。

比与子(ひよこ)/菜々緒

原作の比与子と比べると、菜々緒さん、美しすぎるっ!

そして怖すぎる。

原作のイメージとは少々違いますが、でも個人的にはこの比与子は好きです。

原作では使いパシリ感がありましたし、あまり怖いというイメージがないのですが、映画の比与子は組織の中でもかなり権限を持っていて、実際に自分で手を汚すこともあります。

菜々緒比与子は顔の美しさもあって怖いですが素敵です。

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【グラスホッパー】原作小説と映画の演出の違い

細かい部分まで挙げていくとキリがないほど、原作と映画では違いが多いので、大きく4点の演出の違いについて紹介します。

鯨の幻覚

亡霊のイメージ画像

自殺屋の鯨は、これまで自分が自殺させてきた数十人の亡霊(幻覚)に苦しめられるわけですが、映画オリジナルの設定として

亡霊の中に実の父親がいる

ということがあります。

 

この父親の亡霊がまたよくしゃべる(笑)

鯨を煽り、追いつめて最終的に蝉と対決するように仕向けていきますが、原作小説ではこの役回りは別の人物(田中というホームレス)がやっています。

 

また、そもそも父親の亡霊が出てくるということは、鯨が殺したということでもあり、これも映画オリジナル。

この父親殺害の経験によって鯨は不思議な力を獲得することになった、という設定になっています。

 

さらに驚いたのが、この亡霊の数ですね。

  • 小説→その時々で一人ずつ現れてくるイメージ
  • 映画→うじゃうじゃ

 

住み家にしているキャンピングカーは亡霊でぎゅうぎゅう詰め。

 

いや、これは辛い。しんどいわ。

そういう意味では、映画の方がより精神的に追い詰められている感が出ていましたね。

蝉と岩西の関係性

蝉と岩西の関係性、これも外せない相違点です。

  • 小説→岩西に対し、妙な親近感を持ちつつも、支配されている関係性から抜け出したいと思っている蝉
  • 映画→「相棒」という表現が登場。お互いに同志のような感情を持っている。

 

この関係性の違いにより、かなり物語の展開が変わったものになったと思います。

小説岩西に対し親近感も持ちつつも抜け出したい、逃げ出したい、自由になりたいという葛藤が強く描かれています。

岩西が鯨によって自殺させられたと知った時の「あ、そ」という反応も印象的。

 

映画岩西が自殺させられるところを電話越しに聞いていた蝉は絶叫していますし、その後現場にかけつけたりもしています。

また、岩西も「自分の罪は蝉をこの業界に引きずり込んだこと」と言った表現をしていて、かなり蝉に対し思い入れがある様子が描かれています。

原作を読まず、映画だけを見ればこの設定でも違和感なかったと思いますが、原作で描かれた二人の何とも言えない奇妙な関係性こそがこの作品で重要な部分でもあると思うので、単なる相棒のような関係にはして欲しくなかったと個人的には思います。

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寺西を狙った組織構成

原作では寺西社長は存在感こそあれど全く登場しないのに対し、映画では石橋蓮司さんがガンガン登場します。

この寺西社長は最終的に殺されてしまいますが、この過程が原作と映画でかなーーーり違います。

というか、これによってストーリー自体違っちゃってるよね??という感じですね。

小説鈴木がキャッチでつかまえた若い男女、薬を盛られ監禁されるが実はスズメバチという毒殺専門の殺し屋だった。

最初からそのつもりで自ら捕まっており、隙を見て寺西社長を殺害。

映画鈴木がキャッチでつかまえた元教え子の女性は槿やすみれと同じ組織の人間で、監禁されたふりをして隙を見て寺西社長や比与子を殺害。

 

原作小説では、スズメバチという毒殺専門の殺し屋の存在は伏線として登場しますが、それがまさか冒頭で登場したあの男女2人組だとは思いもしなかった!という展開なんですよね。

しかも、槿やすみれとは全く無関係の別の組織です。

それほど寺西社長という人物が多方面から狙われていたということがよくわかります。

 

ですが、映画では、元教え子の女性は槿やすみれらと同じ組織の人物ということになっています。

う~ん、なんかもったいない!

鈴木の2日間の体験

エンディングシーンですが、これは賛否両論分かれるのではないでしょうか。

小説この2日間の体験はすべて幻覚だったのではないか?と思わせるようなエンディング。

真実は謎。読者の想像に任せるというスタンス。

映画すみれと子供が鈴木に会いに来てすべてを打ち明ける。

子供は、鈴木の恋人百合子に事故現場で助けられた子供だった、という感動のエンディング。

ちがーーーう!

すごくちがーーーーう!

 

グラスホッパーという小説はとにかくやたらと「幻覚」っぽいシーンが多いのですが、鈴木の体験ももしかしたら幻覚だったのではないか?と思わせるような伏線が本中には登場しています。

ですが、映画ではその要素はすっかりそぎ落とし、幻覚を見ていたのはあくまでも鯨だけ。

 

鈴木の体験が幻覚だったのではないか?という雰囲気は全くなく、恋人が子供を救ったという感動ストーリーで幕を下ろしています。

 

いや、いいんです。

映画を単独で楽しむならそれでも良いと思います。

ですが、原作小説とはまったく違うし、せっかくの世界観が台無しだなぁと思う部分も正直大きかったですね。

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まとめ

今回の記事では、伊坂幸太郎さんのグラスホッパーの原作小説と映画の違いについてまとめました。

  • キャラ設定から演出までかなり原作とは変わっている
  • 個人的にピッタリな配役だと思ったのは山田涼介さん!
  • 映画単体で見ればOKな展開

 

個人的には、小説グラスホッパーの世界観を見事に表現した!とはとても言い難いなぁという感想でした。

 

山田涼介さんの演技は本当に素晴らしかった!

正直、それしか残ってないかも…(/ω\)

 

では、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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