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作家生活35周年記念かつ書き下ろし作品ということで大注目の東野圭吾さんの「クスノキの番人」
クスノキってあの木のクスノキ?番人ってどういうこと?
と、タイトルからはストーリーが全く予想できず、事件ものなのかミステリーなのかまったくわかりませんが、一つ言えることは
THE 東野圭吾ワールドだったということ。
今回のこの作品は、ドキドキワクワクとかハラハラそわそわとかそういうものではなくて、人と人のつながりを感じながらゆっくりとストーリーが進んでいき、最後にはほっこり温かい気持ちになる作品です。
東野圭吾さんって本当、人の感情を表現させると上手いなぁとつくづく思います。
今回の記事では、そんな「クスノキの番人」について
- あらすじネタバレ
- クスノキの祈念の秘密
を紹介していきます。
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Contents
クスノキの番人の簡単なあらすじ
クビになった腹いせに元職場に窃盗目的で侵入し逮捕されてしまった玲斗。
突如現れた弁護士から「依頼人の言うことを聞けば刑務所に行かずに済むように計らう」と条件を出される。
その条件とはクスノキの番人をすることだった。
このクスノキには、祈れば願いが叶うという言い伝えがあったが、詳しいことは何も教えてもらえないまま番人として働くことになった玲斗は、祈念に訪れる人々とのつながりを通して徐々にクスノキの秘密に近づいていく。
クスノキの祈念の秘密とは?
玲斗が番人に選ばれた理由とは?
最後には心がほっと温かくなるちょっと不思議なミステリー。
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クスノキの番人の詳しいあらすじと内容のネタバレ
ここからはネタバレを含む詳しいあらすじを紹介していきますので、未読の方は注意してくださいね。
クスノキの番人になるまで
直井玲斗(なおい れいと)は勤務先を不当に解雇され、その腹いせに元職場に窃盗目的で侵入した。
しかしそれは失敗に終わり、まもなく玲斗は逮捕されてしまう。
いよいよ刑務所かと覚悟を決めていると、突然弁護士が現れ、依頼人からの伝言を読み上げる。
それによると、ここを出た後に依頼人の命令を聞くという条件をのめば、弁護士を使って釈放できるように取り計らうというものだった。
怪しさ満開の申し出だったが、他に選択肢もなかった玲斗はその申し出を受けることにする。
ほどなくして本当に釈放された玲斗は、弁護士に連れられてとあるホテルの一室に向かう。
そこにいたのは、柳澤千舟(やなぎさわ ちふね)と名乗る初老の女性であり、玲斗の伯母にあたる人だった。
弁護士を雇い玲斗を釈放させた千舟が出した条件は、「クスノキの番人になること」だった。
この時点ではまだ何のことやら??という感じですが、それよりも第一印象として思ったのが、今回の主人公はあまり頭が良くなさそうだなということ(^^;
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クスノキの番人の仕事内容
柳澤家というのはホテルチェーンを経営する名家で、千舟はかつて女帝と呼ばれたその世界では有名な実業家だった。
柳澤家の所有する土地にある月郷(つきさと)神社にそのクスノキはある。
神社自体は賽銭箱もないこじんまりしたものであり、番人の役目は主にクスノキの管理だった。
日中は誰でもクスノキに近づけるし、自由に祈念もできる。
しかし、夜中の祈念は予約制であり、その選定は千舟が行っていた。
予約の時間にやってきた祈念者に専用のろうそくを渡し、クスノキまで案内する。
その後は、決してクスノキには近づかず、祈念が終わるのを待ち、後片付けをする、それが玲斗に与えられた番人の仕事だった。
祈念とは何なのか、このクスノキに何らかの力があるのか、いくら聞いても千舟は教えてくれなかった。
「そのうちわかる」と。
クスノキの力も、祈念も秘密も、千舟の目的も、なぜ玲斗がこの仕事を任されることになったのかも、すべては謎ばかり。
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祈念の秘密を探る女性
玲斗が番人を任されるようになるずっと前から定期的に祈念に通っている佐治(さじ)という男がいた。
ある日、佐治の祈念中、クスノキのまわりをうろついている女性を見つける。
その女性は佐治の娘の優美(ゆうみ)だと名乗った。
父親の行動が最近怪しく、優美は浮気を疑っているようで、後をつけてきたらこのクスノキのところにやってきたという。
クスノキの中に入って何をしているのかと問われるが、玲斗自身にも答えられることが何もなかった。
優美から脅迫とも取れるような説得を受け、玲斗は優美と一緒にクスノキの祈念の秘密について調べることになった。
優美が好みのタイプだったからなびいちゃったというのも大きいんだよねぇ。わかりやすい男だな(^^;
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少しずつ明らかになる祈念の秘密
千舟から任された過去の資料の整理や、銭湯で会った祈念経験がある男性からの話により、玲斗は少しずつクスノキの祈念の秘密に近づきつつあった。
- 祈念の予約が多く入るのは新月と満月の時
- 祈念に訪れた人と同じ苗字の別人が1~2年後に祈念に訪れているケースが多くある
- 優美と同じ苗字の佐治喜久夫という人物が5年前に祈念に訪れた記録がある
- 同じ苗字の二人は、一人は新月に、もう一人は満月に訪れている
佐治喜久夫は故人で、優美の叔父にあたる人物だったが、生前に交流はなく、優美自身は葬式にも行っていないということだった。
あくまでも父親の浮気を疑っている優美は、またしても脅迫に近い説得で玲斗を強引に押し切り、クスノキの中に盗聴器を仕掛け父親の祈念の様子を確かめる計画を立てた。
最初に祈念中の佐治に近づいた時、クスノキの中から聞こえてきた鼻歌。
あれはいったいどんな意味があるのか?
二人はクスノキの秘密に迫っていく。
優美はともかく、玲斗は番人としては祈念を覗くなんて絶対にしてはいけないこと。優美に押し切られたとはいえ盗聴器を仕掛けることをOKしちゃうなんて、ダメだこりゃぁ~(>_<)
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千舟との箱根旅行
千舟から急に旅行に行くことを告げられる。
行き先は箱根で、柳澤グループの原点となった「ホテル柳澤」に宿泊するという。
ホテル柳澤は千舟が一から立ち上げたホテルであり、千舟の想いや信念が詰まった素晴らしいホテルだった。
しかし代替わりで現在代表をしている柳澤勝重・将和兄弟の方針により閉鎖されることが決まっていた。
ホテル柳澤の良さを肌で感じた玲斗は、なぜこのような素晴らしいホテルが閉鎖に追い込まれるのか疑問に感じる。
結局ホテルに一泊しただけで他に観光などもせず、東京に戻ることとなった。
さらに、今度は系列の別のホテルに一人で宿泊してくるようにも言われた。
その日の番人は千舟が代わりに務めるから、と。
何がしたくて箱根まで行ったのか?ホテルを見せたかった??千舟の考えてることがわからない(*_*)
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クスノキの祈念の秘密に迫る
玲斗は番人としての仕事を通して、クスノキの祈念の秘密について核心に迫りつつあった。
クスノキの祈念とは、自分が生きているうちに血縁関係にある人物に対し残す遺言のようなもの、これが玲斗が辿り着いた結論だった。
新月の日にメッセージを残す、満月の日にそのメッセージを受け取る、そして優美の父親の佐治寿明は間違いなく兄の佐治喜久夫が残したメッセージを受け取るために祈念に来ているのだと確信した。
ただ、紙の遺言とどう違うのか、何度も祈念に訪れる人がいるのはなぜなのか、そのあたりはまだわからなかった。
すごく神秘的な素敵な話だと思いました。ですが、まだ謎は色々と残ります。
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祈念がうまくいかない男性
大場壮貴(おおば そうき)という若い男性が年配の男性に連れられて祈念にやってきた。
大場は老舗和菓子メーカーの後継者問題の当事者であり、その問題を解決するために祈念を成功させる必要があるという。
しかし、最初からやる気がなさそうな大場は、やはり祈念がうまくいかずにいた。
他の祈念者は千舟から口止めされているせいで玲斗には何も教えてくれなかったが、大場はポロポロと話すので玲斗にとっては貴重な情報源となっていた。
ある日大場は昼間に神社にやってきて、玲斗に相談があると持ち掛けた。
大場の父親が生前クスノキに祈念しており、その祈念を受ける人物を自分一人に限定してしているせいで、何としても自分が祈念する必要があるという。
しかし「自分には祈念が絶対にできない」と言い、何回までやったら終わり等の基準が知りたいというものだった。
何かしら複雑な事情がありそう。でも確かに自分が祈念に成功しないと会社の存続に関係があると言われるとすごいプレッシャーですよね。
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祈念の様子を盗聴する
ついに佐治寿明の祈念の様子を盗聴する日がやってきた。
事前にクスノキの内部に機械を設置し、優美と玲斗は近くで待機し祈念の様子を盗聴した。
すると、佐治寿明は祈念しながら鼻歌を歌っていた。何度も何度も。
意味がわからず首をかしげていると、祈念を終えた佐治がクスノキから出てきたところと鉢合わせてしまった。
言い訳することもできず、優美が前に出て状況を説明。
女性のマンションに出入りしている証拠写真を突きつけ、浮気を疑って父親の行動を探っていたことを告げると、佐治は「すべて話す」と言った。
お父さんが理解のある人で良かったよ(汗)千舟にバレたらえらいこっちゃだよ。
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クスノキの祈念の真実
佐治寿明より、実兄である佐治喜久夫の話を聞いた。
- 喜久夫は幼い頃からピアノの卓越した才能がありピアニストを目指していたこと
- 挫折を味わいピアノから離れたことをきっかけに家とは疎遠になったこと
- 次に目指した芝居の世界でも再び挫折を味わい、アルコール依存症になったこと
このような状態の兄と寿明は距離を取っていたが、母の貴子だけはずっと献身的に見守り続けてきた。
しかし兄が若くしてこの世を去ると、貴子はよりどころを無くし認知症を発症してしまう。
施設に入所した母親の身の回りを整理している時、兄から母親へ宛てた手紙を見つける。
その手紙にクスノキのことが書いてあり、何のことだかわからないところから色々と調べて祈念のことを知った。
千舟に会ってクスノキの力を聞き、兄が預けたという「念」を受け取るために満月に予約を入れた。
クスノキに預けるもの、それは言葉では表せない祈念者の「念」だった。
寿明は半信半疑ながらクスノキに入り、受念に挑戦した。
そして見事、兄の念を感じ取ることができた。
それは、本当に言葉では表せない、祈念者の想い全てだった。
すごく不思議な話だけど、日本中探せば人知れず言い伝わるこんな木がどこかにあるかもしれないという気になってきますね。
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佐治寿明の鼻歌の秘密
受念の中で、喜久夫が母の貴子を想って作った曲を感じ取ることができた。
晩年の喜久夫は自分でピアノを弾いて曲に残すことができなくなっていたので、祈念という形で母親に曲を送ろうと考えたのだ。
しかし当の母親本人は認知症となってしまい、受念できる状況ではなくなっている。
寿明は、この曲をどうにかして形にし、母親や優美らにも聞かせたいと考えるようになった。
しかし、誰かと一緒に受念するわけにもいかないので、自分の鼻歌でしか残すことができない。
そこで寿明は知り合いのつてをたどり、音楽家の女性に会って自分の鼻歌を楽譜に起こしてもらう作業を開始することとなった。
この女性こそが、優美が愛人だと疑っていた相手だった。
寿明は何度も受念に訪れては鼻歌の精度を上げていったが、音楽的センスの問題でどうしても実際の曲とは違ってしまうことにもどかしさを感じていた。
確かに鼻歌だけで他人に曲のイメージを正確に伝えるというのは簡単なことではないですよね。
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番人の継承
千舟に自宅へ呼ばれた。
玲斗がクスノキの番人を正式に継承することを告げられ、過去150年分の祈念の記録の管理も任された。
それ以外にも、千舟の自宅を含む財産もすべて玲斗に相続されるとのことだった。
将来的には、祈念に使われる専用の蝋燭も玲斗が作っていかなければならなかった。
その日の夜、ふとしたことから玲斗はある事実に気づく。
渋谷の系列ホテルに泊まるように言われ、千舟が番人を代わったあの日、千舟自身が祈念したのではないか、と。
であれば、クスノキの番人を任された自分こそが、千舟の念を受け取るべきではないのか。
千舟本人は嫌がるかもしれないが、玲斗にはそれをする必要性を強く感じていた。
佐治寿明の鼻歌は無事に曲として完成することができるのか?
千舟がクスノキに預けた念の内容とは?
受念がうまくいかなかった大場を待つ結末とは?
クスノキが持つ神秘的な力は本当にすごいものだけど、それだけではない人と人の繋がり感じさせるエンディング。
ぜひ作品を手に取ってほっと温かな感動を味わってみてくださいね!
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クスノキの番人を読むには紙書籍しかない
昔ながらの「紙書籍」の他に、最近ではスマホやタブレットを使う「電子書籍」もかなり普及してきましたよね。
- 場所を取らない
- 重くない
- スマホさえあればいつでも読める
そういったメリットから電子書籍を愛用されている方もいらっしゃると思いますが、残念ながらクスノキの番人には電子書籍はありません。
というか、東野圭吾さんがご自身の作品全般に対し電子書籍化を許可されていないんですね。
一部、コミック化されているものは電子化されているものもありますが、基本的には電子書籍はありません。
ということで、クスノキの番人を読むためには、紙書籍を購入するしか方法はありません。
2020年3月時点では単行本しか発売されていませんが、ソフトカバーなので重さやゴツさという点ではハードカバーよりははるかにお手軽ですよ♪
単行本は値段もけっこうするので文庫本が待ち遠しいなぁという方はこちらの記事もどうぞ!
まとめ
今回は、東野圭吾さんの「クスノキの番人」について、あらすじネタバレをまとめました。
東野圭吾さんの作品は、ドキドキハラハラ系の事件ものから、ほんわか人間ドラマ系、メッセージ性の強い考えさせられる系など、本当にジャンルは多岐に渡り、いつも最後は色々な意味で「う~ん」とうならされます。
今回は、事件も起こらないし、人が死んだりもしません。
ページをめくる手が止まらない!というよりは、じっくりじわじわ良さが染み渡るような作品なんですよね。
そして、ぜひとも2回は読んでいただきたいです。
1回だと、細かい伏線や千舟の本当の気持ちなどはサラッと読み流してしまう可能性が高いと思います。
そして2回目は、より一層じわ~~っと感動が押し寄せてきますよ(^^♪
では、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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