【やめるときも、すこやかなるときも】原作小説のあらすじネタバレは?感想や口コミも!

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窪美澄さんの「やめるときも、すこやかなるときも」

 

読んでいる途中から思っていたことですが、上質の恋愛小説というのがこの作品を一言で表す言葉です。

 

下品な場面がなく、上品、上質、そういう言葉がとてもしっくりくる大人の恋愛小説です。

 

そして読み進めるにつれ、この作品のタイトルが「やめるときも、すこやかなるときも」であることの意味が徐々にわかってきます。

 

今回は、窪美澄さんの『やめるときも、すこやかなるときも』について

 

  • あらすじやネタバレ
  • 感想や口コミ

を紹介していきます。

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やめるときも、すこやかなるときもの簡単なあらすじ

出版社勤務の桜子は、自己肯定感の低い32歳独身女子、男性経験なし。

付き合いで出席した結婚式で壱晴と出会ったが、酔いつぶれてしまい気づくと壱晴の部屋にいた。

後日仕事で偶然壱晴に再会し、彼に惹かれていくことを感じていた桜子だったが、壱晴は誰とでも寝る軽い男だった。

そんなある日、打ち合わせ中に壱晴は突如声が出なくなり桜子は動揺するが、彼にとっては予想されたことだったらしく…。

 

何らかのトラウマを抱えて苦しんでいる壱晴を支えたい恋愛下手な桜子と、過去を克服し桜子ととも人生を歩みたい壱晴。

二人は少しずつ成長しながら手探りの恋愛を進めていく、大人のラブストーリー。

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やめるときも、すこやかなるときもの詳しいあらすじとネタバレ

ここからはネタバレを含む詳しいあらすじを紹介していきますので、未読の方は注意してくださいね。

 

壱晴と桜子の出会い~壱晴サイド~

壱晴は目が覚めると、自宅のベッドに知らない女が寝ていることに気づく。

この女が誰なのか、どうなってこうなったのか、この女と寝たのかも記憶にない。

ゆすって起こしてみても起きないので壱晴は仕方なく出かける準備をし、鍵と書き置きを残して自分は出勤した。

昨日は友人の結婚式だった。

気が進まない中、学生時代からの友人の妙子から強引に誘われて参加することに決めた。

家具職人として友人たちに営業することを目的に参加したので、名刺を配り終えると、あとは端の椅子に座って過ごした。

そして適当に目星をつけた女性に声をかけ飲みに行ったのだった。

仕事を終えて帰宅すると女はおらず、名前と連絡先が書いたメモが残されていたが、壱晴は名前を見ることもなそれを捨てた。

翌日、来春に予定している初個展のパンフレットに関する打ち合わせで、壱晴は出版社の人間と会った。

やってきた営業の女性から一通り話を聞いた後で、 その女性が、昨日は申し訳なかったという趣旨のことを話し出した。

実は昨日の結婚パーティーでお持ち帰りし、一緒のベッドに寝たのがその営業の女性だったのだ。

しかしそう言われても壱晴は全く顔も思い出せず、メモもすぐに捨てたので、 全く記憶になかった。

そして彼女と話している途中で、急に声が出なくなってしまった。

冒頭からけっこうなクズ男ですね、壱晴という人は(^^;

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壱晴と桜子の出会い~桜子サイド~

桜子は32歳独身。

今回、結婚パーティーに行くことにしたのは仕事関係の人からの誘いで、独身の人を紹介してもらえるという話があったからだった。

しかしいざ行ってみると、そのような気配は一切なく、来なければ良かったと思っていた。

一人でバンバン酒を飲んでいた頃、一人の男に声をかけられた。

声をかけられること自体が今までにない経験で、その男の人にふらふらとついていった。

しかし、気分が悪くなり、その人の前で醜態をさらし、結果その男の部屋に連れて行かれた。

ところが目が覚めた時、下着姿だったにも関わらず何も起きなかったという事実が、一層桜子を惨めな気持ちにさせた。

桜子は32歳にしてまだ男性経験がなかった。

もう二度と会いたくないと思っていたその人が、 今回の顧客相手だと知った時、最悪だと思った。

初めての商談の場でしばらく話していると、目の前の家具職人の男は突然声が出なくなった。

動揺する桜子に対し、男は声が出なくなったという事実を冷静に筆談で伝えてきた。

誰とでも寝る軽い男だとわかっていたが、なぜか桜子はこの時、この人と結婚したいと強く思った。

翌日に偶然に再会して運命のように思ったのかもしれないけど、また大変な人を選んでしまいましたね。

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壱晴が声を失ってから

壱晴の声が初めて出なくなったのは、19歳大学1年生の時。

最初は風邪か喉に異常があるのだと思い、耳鼻科を受診したが異常なし。

この時点で、症状が続くようなら精神科を受診するように言われていたが、壱晴には心当たりがあり、あえて精神科に行くことはなかった。

一週間ほどで声は戻った。

翌年も同じことが起こり、同級生の妙子が強引に精神科に連れていった。

壱晴の症状は「記念日反応」と呼ばれるものであり、根本的な治療法は、原因となっている出来事が起きた場所に信頼できる人と行ってみることであると説明を受ける。

壱晴はその日一人で飲みに行き、そこで初めて行きずりの女の人と一夜を共にした。

壱晴はそれ以来、12月が近づきそわそわするような気持ちがすると女を抱くようになった。

彼にとって女性を抱くことは、一種の精神安定剤のようなものだったんですね。うんうん、わかる!….って、わかるか!

一気に急展開

桜子は声が出なくなることについてパソコンで調べてみた。

そして行き着いたのは心的外傷という単語だった。

壱晴には心的外傷に相当するような出来事が過去にあったのかもしれない。

桜子は酒を飲んでは自分たちに暴力を振るう父のことを本当に疎ましく思っており、自分が必死で仕事をしなければ、今の家族は食べて行くことすらできなかった。

なのになぜ両親は離婚しないのか、夫婦とは何なのか、結婚とは何なのか、そんなことを考えていた。

2度目の打ち合わせの時、壱晴の工房を訪れると、師匠の家具職人だというおじいさんがいた。

師匠から「あんた誰?壱晴の女の一人?」と聞かれショックを受ける桜子。

話の流れで、二人でサンドイッチを食べることになった時、桜子はふいに思い立ち、私の家に来ませんかと壱晴のことを誘う。

自分の家の経済状態、父親のこと、そういう状況をこの人に先に知ってもらいたいと桜子はなぜかそう思った。

家に来て自分の部屋に合うような家具を何か見繕ってもらえないか、そのような言い訳で誘ったのだが、壱晴は快く行きますと返答した。

桜子が壱晴を家に呼んだ日、両親は仕事に出ており、家には誰もいなかった。

早速部屋を見てもらうと、仕事で帰ってきた時に休めるような椅子があるのでは良いのではないかと壱晴に言われる。

そんな会話をしていると、なんと予想外に父親が帰宅。

しかもベロベロに酔っており、家にいる壱晴に対し「お前は誰だ!なぜ家にいる!まさか娘を妊娠させたのか」等々くだを巻きながら言い迫った。

すると壱晴は、今はまだ付き合っていませんが、これからお付き合いをするつもりでいますと父親に対して宣言した。

誰より驚いたのは桜子である。

壱晴はまた来ますと一礼し家を去った。

壱晴は桜子のことが好きなのかどうかわからなかった。

でも、自分が抱えている問題を解決するにはこの人しかいないかもしれない、そういう気持ちがあった。

ものすごく好き!という感じではないのに、お互いなんとなく運命的なものを感じているところが逆に素敵。

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壱晴の大切な人

正月に、壱晴の希望で桜子は壱晴の母親に会いに行くことになった。

壱晴の実家にて、寝たきりの祖父の介護のため桜子が一人でリビングで待たされることになった時、桜子はチェストの上に飾られた一枚の写真を見つけてしまった。

 

壱晴が髪の長い女の子と一緒に写っている写真だった。

過去に彼女がいるくらい当たり前だと頭ではわかっていたが、母親が二人の写真を飾っているということに深い意味を感じ、桜子はショックを受けた。

 

母親の家からの帰り道、桜子は壱晴に「いつかあの写真の女の子のことを聞かせて欲しい」と一言だけ言った。

お母さん!うっかりなの?わざとなの?どんな思い出があるにしろ、ツーショット写真は見えないところにしまっておきましょうよ~(>_<)

 

壱晴の過去

師匠の哲先生が倒れたと連絡が入った。

哲先生が死ぬかもしれないその状況になって初めて、人の人生は限りがある、桜子に自分のことを話さなければいけないと壱晴は強く思った。

 

桜子を呼び出し、真織の話をした。

 

壱晴が松江にいた頃の話だ。

真織は同じ高校の同級生で、トップクラスの成績を収める優等生だったが、夕方から夜遅くまで毎日バイトをしていた。

ダメな父親がおり、真織が働かないと二人が食べていけないような家庭環境であるということを人づてに聞いた。

 

壱晴は自分の恵まれた環境と真織の劣悪な環境を比較し、思春期特有の複雑な感情も相まって、毎日イライラしやるせない気持ちを抱えていた。

彼女のために何かできないか、そう考えた壱晴は毎日バイトが終わる21時頃に真織を迎えに行き、二人で自転車で並んで真織を家の近くまで送るという生活を繰り返した。

 

真織と壱晴の距離は徐々に近くなり、毎日の送迎と図書館での勉強が恒例となった。

真織は受験生になってもバイトのペースを緩めることもなく、それでいていつも成績上位はキープしていた。 

 

壱晴は一度酔っ払いの父親と遭遇したことがあったが、真織は「あんな父親でも自分が家を出てしまったらお父さんが生きていけなくなってしまう」という感情に葛藤していた。

壱晴はどうすれば彼女を救ってやれるのか必死で考えた上で、真織を説得し、それ以来二人は東京の大学に進学して一緒に生活することを目標とするようになる。

 

12月になっても真織はバイトをしていた。

ある時、体調を崩しながらもいつものように真織のバイトの終わりの時間に迎えに行った壱晴。

そんな状態で来た壱晴に対し真織は、早く家に帰って寝て、一人で帰るから大丈夫、そう言い、横断歩道のない場所で道を渡ろうとした。

そんなところは渡ったら危ないよ、そう言いたかったが風邪のせいで声は届かなかった。

 

その時、大型トラックが突っ込んできた。

真織はとっさにブレーキをかけたが、ぼろぼろの自転車のブレーキは効かず、真織はトラックと正面衝突した。

 

この時のことを壱晴ははっきり覚えていない。

12月になりこの日が近づいてくると壱晴の声は出なくなった。 

真織と桜子の家庭環境がとてもよく似ているから、壱晴は二人を重ねて見てしまってる。桜子からすればやるせないわ。

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松江へ

壱晴から真織の話を聞き、桜子は様々な感情に葛藤していた。

こういう経験をした壱晴と付き合っていくのは、恋愛下手な自分にとって重荷過ぎるのではないかと考えていた。

 

それから一週間後、桜子は壱晴に仕事の打ち合わせで会った。

壱晴は疲れており仮眠をとりたいということで横になったが、寝言で真織の名前を呼んだことで桜子は傷つき、壱晴のことを受け止めきれないと初めて感情を爆発させた。

高校生の時にそんな体験をして可哀想だと思う、しかし真織のことが原因で誰とでも寝るようになったのか、あなたのことが理解できない、と。

 

それに対し壱晴は、松江に2人で行こう、あの街を二人で見たらそこから始められるような気がする、そう言った。

いやいや、これはどうなの?壱晴身勝手すぎない?桜子の立場で松江に行きたいわけがないよね。

仕事の調整をつけて二泊三日で松江に旅行に行くことにした。

二人で壱晴が過ごした町を順番に見て回り、途中で会った高校時代の友人から、壱晴は今までずっと真織のお墓参りに来られなかったと聞かされる。

二人はと真織の墓参りをし、真織の家も見に行った。

壱晴は一緒に来てくれてありがとうと桜子に言った。

 

しかし桜子は、今でも真織のことを思い続けている壱晴を余計に肌で感じることとなり、壱晴のもとを去る。

桜子が可哀想すぎるよ~。壱晴のやってることが残酷すぎる。

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切れなかった絆

松江旅行以来よそよそしくなってしまった二人。

もう本当に終わりなのだと桜子は感じていたが、一方で、重い荷物を背負った壱晴ごと受け入れようという覚悟もできつつあった。

 

師匠の哲先生がついに亡くなってしまった。

哲先生は最後までずっと壱晴のことを心配し、桜子のことを大切にするよう進言していた。

壱晴は桜子に電話をかけて哲先生が亡くなったということを伝え、そして桜子に会いたいという気持ちを伝えた。

 

哲先生の葬儀が終わると、壱晴の工房で桜子は完成した椅子を見た。

ものすごく心地いい椅子だった。

そして桜子は土下座しながら結婚してください!と叫んでいた。

壱晴は桜子を立ち上がらせ、改めてプロポーズした。

 

せっかく女っぷり上がってきたと思ったら、やっぱり土下座(笑)桜子らしいですね。

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エピローグ

また12月がやってきた。

二人が一緒に暮らし始めて半年以上が経っていた。

 

あの日が近づいていた。

 

 

二人が一緒に暮らし始めて初めての12月、壱晴は壁を乗り越えられたのでしょうか?

最後は本当にほっこりと、優しい気持ちになる「やめるときも、すこやかなるときも」。

繊細な表現や情景描写などが印象的で映像が目に浮かびます。

ぜひエンディングは、小説で読んでみてくださいね!

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やめるときも、すこやかなるときもの感想や考察

400ページ以上の恋愛小説ってけっこう長い方だと思うのですが、飽きることなくサクサク読み進めることができました。

冒頭でも書きましたが、「上質な恋愛小説」という言葉が私にはとてもしっくりきます。

 

心理描写や情景描写がとても丁寧で、映像が目に浮かぶのですが、それゆえイライラや腹立たしさも人一倍だったかなぁと。

特に、

  • 酒と暴力の最低な父親
  • 依存体質で全く頼りにならない母親

この二人には本当に腹が立ちますね。

もしかしたら父親よりも母親の方が罪深いかもしれないと私は思います。

 

あとは、壱晴の無神経さ。

これも腹が立ちました。

桜子を何だと思ってんの???と。

 

勝手に過去の恋人と重ね、自分が壁を乗り越えたいがために桜子を松江まで連れて行く。

ありえないと思いましたねー。

 

そしてタイトルの「やめるときも、すこやかなるときも」の意味。

  • お互いに依存しあっている両親を見ながら、結婚って一体なに?と思う場面
  • 結婚はしませんと宣言している壱晴
  • 結婚とは相手に自分の弱い部分も見せることであると考える場面
  • 相手の友人から「あいつをよろしくお願いします。」と言われることの意味

 

読みながら私も色々考えさせられましたが、最後には作家の窪美澄さんはこういうことが言いたかったのかなと自分なりの答えは見つけられました。

 

いくつか口コミを紹介します!

素敵な小説、本当にそう思います。優しい気持ちになる、上品な小説です。

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やめるときも、すこやかなるときもを電子書籍で読むならAmazon kindleがオススメ!

小説は紙!と思っている方、まだまだ多いのではないかと思いますが、電子書籍もかなりオススメなんですよ!

 

  • 場所を取らない
  • 持ち運びが楽
  • いつでも読める
  • 今すぐ読み始められる

 

等々、他にもメリットは書ききれないほどありますが、特にこの「やめるときも、すこやかなるときも」は400ページ超えの大作なので、数日以上かけて少しずつ読み進めるという方が多いと思います。

 

この時に電子書籍のメリットが最大限感じられるんです!

 

電車の中やちょっとした待ち時間などに読み進める場合、紙書籍だと持ち運ぶのが大変!

予定外にできた隙間時間などでは手元に小説を持っていない場合もありますよね。

でも、スマホならいつでも持っているんじゃないでしょうか?

 

先が気になって少しでも読み進めたい!という時も、小説を持って行くのはちょっと…というような場所、例えばトイレやお風呂などでもスマホだったら持って行くという方もいると思いますので、どんどん読み進められますよ。

 

今すぐ購入して今すぐ読み始めることが可能ですので、ぜひ一度試してみてくださいね!

まとめ

今回は窪美澄さんの「やめるときも、すこやかなるときも」のあらすじネタバレと感想や口コミについてまとめました。

しつこいですが、とても大人で上品な恋愛小説です。

 

ただ男女の恋愛を淡々と描いた小説ではなく、その中に家族の問題だったり、結婚の意味だったりを考えさせるような要素が多数あります。

 

お互いが、ものすごく好き!という強い感情を持っていないのになんとなく運命的なものを感じているというところが、リアルな30代の恋愛という気がします。

読了後にほっこりする、幸せな気持ちになる素敵な小説です。

 

まだ未読の方はぜひ読んでみてくださいね!

 

 

では、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

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