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こんにちは。
『希望の糸』は東野圭吾ファンの中で最高傑作との呼び声も高い作品ですが
(最高傑作が何作品もあるっていう突っ込みは置いといて)
読みやすいことは言うまでもなく
読了後にいろんな意味でため息が出ることも言うまでもなく
とにかく最高!!(興奮)
単行本の帯には
死んだ人のことなんか知らない。
あたしは、誰かの代わりに生まれてきたんじゃない。
と、重々しいキャッチコピーが書かれていますが、テーマは「家族」です。
今回はどんな東野ワールドが待っているのでしょうね。
この記事では
- 東野圭吾さんの「希望の糸」のあらすじとネタバレ
- 登場人物の紹介
を書いていきます。
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Contents
希望の糸の簡単なあらすじ
カフェ「弥生茶屋」のオーナーが刃物で殺害された。
「あんないい人が殺される理由がない」と誰もが口をそろえて言う中、2人の容疑者が浮かび上がる。
オーナー弥生の恋人ではないかと噂される汐見と、弥生の元夫の綿貫。
二人とも弥生を殺害する動機がない一方でアリバイもはっきりしない。
そして二人とも弥生に関して何かを隠している。
捜査を進めるうち、2つの家族を巡る秘密が徐々に明らかになっていく。
事件解決のためとはいえ、この大切な秘密を暴くことは正しいのか?
正義とは何なのか?家族とは何なのか?
事件を担当した刑事・松宮は迷いながら事件を解決に導いていく。
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希望の糸の詳しいあらすじとネタバレ
ここからはネタバレも含みますので、未読の方は注意してくださいね。
希望の糸は加賀恭一郎シリーズですが、今回の主役はあくまでも従兄弟で後輩である松宮刑事です。
加賀恭一郎はアドバイザーのような立ち位置で松宮を導いてくれます。
事件
カフェ「弥生茶屋」の女性オーナー・弥生が背中を刺されて死亡する事件があった。
警視庁捜査一課の刑事・松宮は弥生の交友関係を調べる担当になるが、誰に聞いても悪い話が全く出ず捜査は行き詰まる。
聞き込みを続けるうち、弥生がエステサロンとスポーツジムに1か月前から通い始めていたことを知る。
身なりを急に気にしだしたのは男絡みではないか?という推理から、容疑者が2人浮かび上がってくる。
容疑者① 汐見行伸 カフェの常連客
容疑者② 綿貫哲彦 弥生の元夫
この2人は事件に関係があるのだろうか?
悪い話が全く出てこないのに殺されてしまう…って現実世界の事件でもよくありますよねぇ。
汐見の過去と娘
容疑者①の汐見には辛い過去があった。
汐見にはかつて小学校6年生と4年生の子供がいた。
初めて子供たちだけで新潟に里帰りさせたその時、新潟中越地震が起き2人は被災し亡くなってしまう。
汐見夫妻は、絶望の淵から前を向いて歩いていくために再び子供をもうけることを決断し、不妊治療を受け始める。
地震から約1年後、夫婦の元に子供が授かった。
萌香と名付けた娘を、汐見夫妻は本当に大切に大切に育てた。
萌香が中学生になった時、妻が白血病を患い、闘病むなしくこの世を去った。今から2年前のことだった。
ただでさえ難しい年頃の娘にどう向き合って良いのかわからない汐見だったが、
萌香から「私は生まれた時からずっと身代わりだった」と言われ当方に暮れてしまう。
汐見を訪ねた松宮は、汐見親子がお互いの行動を把握していないことから、あまりにギクシャクした親子関係に違和感を持つ。
萌香の叫びは読んでいて辛い。子供を失った汐見夫妻が萌香を割れ物のように大切に扱う気持ちはよくわかる。でもそれは決して身代わりなんかじゃない。でも萌香にとっては身代わりと感じても仕方ないよね。
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元夫・綿貫の行動と妻・多由子
容疑者②の弥生の元夫・綿貫は弥生の死後、怪しげな行動を取っていた。
弥生の両親の元に出向いて死後事務処理を代行すると言ったり、警察に弥生のスマホだけでも早く返して欲しいと言ってきたりしていた。
綿貫は弥生と離婚後、現在は事実婚パートナーである多由子と同居していた。
綿貫の行動を確認するため多由子に会いに行った加賀恭一郎は、多由子の言葉の節々から違和感を感じ、多由子自身のアリバイを訪ねたところ、自分が弥生を殺した犯人であると自供したのだった。
わぁ~。加賀さん、脇役のふりしておいしいところ持っていくよね~。さすがだね~。
こんなに早い段階で犯人がわかってしまったけど、でもまだ謎はいっぱい残ってる…
犯人・多由子の自供
綿貫と一緒に暮らし始めて5年。特に倦怠期などもなく関係は良好だった。
ところが最近、綿貫は前の奥さんと会ったようで、そのあとから明らかに様子がおかしくなった。
スマホを盗み見したところ、元嫁と復縁するのではないかという不安が膨らみ、居ても立ってもいられずに元嫁に会いに行くことにした。
弥生に会い、綿貫とどんな話をしたのか問い詰めると
「あなたが綿貫から何も聞いていないなら私から言うことはできない。あなたは関係ない」
というようなことを言われ、気づいたら背後から刺していた。
多由子が自供したと聞かされた綿貫は、なぜそんなことになったのか訳がわからなかった。
警察から「弥生に会ってから様子がおかしくなったと多由子が言っている。一体何の話をしたのか」と追及されたが、綿貫は何も言わなかった。
綿貫はまだ何かを隠していますね。パートナーが逮捕されているのに言えない秘密って一体何なんだ。
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萌香の気持ち
犯人は逮捕されたが、しっくり来ない。
まだ何かある。
松宮は加賀からのアドバイスもあり、萌香のテニス部の練習中に会いに行く。
萌香は
- 自分は死んだ兄姉の身代わりで、二人の分まで期待を背負わされて重荷であること
- 最近の父は自分のことを怯えたような目で見ていること
これらを不満に思っていることを松宮に告白する。
松宮が何度も自分に父親のアリバイを確認してくることから、父親が疑われており、カフェのオーナーに父親が気持ちを寄せていた可能性を感じ、弥生の写真を見たいと松宮に言う。
写真を見た弥生は
「この人、テニスの練習を何度か見に来ていたことがある」
という。
自分は死んだ兄姉の身代わりだ、重荷だ、こんなことを知り合って間もない刑事に言うって、よほど誰かに言いたくて、でも誰にも言えなくて辛かったんだなぁと思います。
弥生と萌香のつながり
松宮は弥生の実家に向かい、綿貫が死後事務処理を引き受けることになった経緯を聞き出す。
綿貫からの申し出であったという。
また、昔のアルバムを見たいと綿貫から言われたので見せた、という両親の話から、松宮も同じアルバムを見る。
そしてそこで、驚くべき事実を発見する。
その写真を持ち帰り、汐見に突き付ける松宮。
弥生と萌香に血のつながりがあるのではないか?
- 綿貫&弥生夫妻と汐見夫妻は16年前の同時期に同じクリニックで不妊治療を受けている
- 受精卵の取り違えがあったのではないか?
- 萌香は綿貫&弥生夫妻の子供ではないか?
- そのことを弥生に話したのではないか?
- だから弥生は萌香のテニス部の練習を見に行ったのではないか?
松宮は汐見を問い詰める。
犯人は捕まった。でも多由子は本当のことを話していない可能性が高い。
汐見が真実を話さないと他の誰も話せない。
真実は永久に謎のままになる。
松宮は汐見にそう警告する。
萌香の育ての父親である汐見、遺伝子上の父親である綿貫、その妻の多由子、みんなが萌香のことを守るために真実を話していないということがわかるこのシーンは心打たれるものがありました。
「自分は身代わり」と思っている萌香にその気持ちがどうか伝わりますように。
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受精卵の取り違え
16年前、同じクリニックで不妊治療を受けていた2組の夫婦。
ここで病院側のミスであってはならないことが起こった。
受精卵を取り違えたのだ。
今回うまくいかなかったら諦めよう、そう決めていた汐見夫妻の元にやってきた待望の赤ちゃんは、実は綿貫夫妻の受精卵だった。
- 受精卵の取り違えがあったことを汐見夫妻はいつ知ったのか?
- 萌香にそのことを伝えようと思った理由は?
- なぜ遺伝子上の母親である弥生に伝えることにしたのか?
- 多由子が弥生を殺してしまった本当の理由は?
すべてが明らかになる時
たくさんの人たちの萌香を思う愛に感動します。
家族とは何か?血の繋がりとは何か?
その答えも見つかるかもしれません。
ぜひ実際に手に取って読んでみてくださいね!
今回は書いていませんが、サイドストーリーとして松宮刑事の生い立ちに関する秘密も明らかになっていますよ。
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希望の糸の登場人物
主要な登場人物を紹介します。
松宮 脩平(まつみや しゅうへい) | 警視庁捜査一課の刑事。加賀恭一郎の従妹で部下。弥生殺害の事件を担当する。 |
花塚 弥生(はなつか やよい) | カフェ『弥生茶屋』のオーナー。背中から刃物で殺害される。 |
汐見 行伸(しおみ ゆきのぶ) | 地震で子供2人を亡くし、のちに妻も病気で亡くす。 花塚弥生殺害の容疑者の一人。 |
綿貫 哲彦(わたぬき てつひこ) | 花塚弥生の元夫。弥生殺害の容疑者の一人。 |
中屋 多由子(なかや たゆこ) | 綿貫の現在の妻。事実婚で籍は入っていない。 |
芳原 亜矢子(よしはら あやこ) | 料亭旅館『たつ芳』の女将。父親の遺言書から驚くべき事実を知り、松宮に接触する。 |
今回の主役は加賀恭一郎の従兄弟で後輩の松宮です。すっかり一人前の刑事になって、パートナーの長谷川に一目置かれるようなシーンもあります。
松宮自身の出生にまつわるエピソードも同時進行していく中で、正義のためとはいえ刑事の立場で超個人的な秘密を暴いて良いものかを葛藤しますが、
エェ刑事やなぁ(惚れ惚れ)
こんな刑事さんばっかりだったらいいのになぁと思いました。
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希望の糸の感想や考察
希望の糸は、『THE謎解き』というハラハラドキドキするような作品ではなく、人間同士の繋がりや関わり合いなどの要素が強い作品です。
特に私は後半の、萌香が父親に対し感情をぶつける場面は、子を持つ親になった今は涙なしでは読めない部分でした。
萌香の気持ちもわかるし、父親が子供を大切に思うあまり距離の取り方がわからないという部分も共感できるので、
二人がきっちり話し合うことができた時には(その部分ははっきりと描写されていませんが)
「本当に良かったねぇ(ノД`)・゜・。」と親戚のおばちゃんのような心境になりましたよね。
受精卵の取り違えって、不妊治療が当たり前になっている現代では誰もが当事者になり得るし、自分たちでは気づきようもなければ防ぎようもないわけで、
こわぁーーーー:;(∩´﹏`∩);:
と思いつつも、もしそうなったらどうするか?
家族って何?
血の繋がりって何?
そんなことをたくさん考えさせられる作品でした。
間違いなく、東野圭吾作品の中の傑作のひとつと言えますね。
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まとめ
今回は東野圭吾さんの「希望の糸」のあらすじと登場人物についてまとめました。
加賀恭一郎シリーズはいつも人間ドラマが濃ゆ~い感じのものが多いですが、今回もまた濃厚でしたね。
加賀さんが偉くなって後輩の松宮が活躍しつつも、ちゃっかり存在感を示しているところが加賀シリーズファンとしても満足いく作品だと思います。
加賀恭一郎シリーズはドラマや映画もあるので、勝手に俳優さんで想像して読んでしまうところもありますが、イメージが崩れない作品になっていたところも良かったです。
未読の方はぜひ読んでみてくださいね!かな~りオススメです!!
では、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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